定年まで勤め上げた職場で採用が同期だった仲間が集まり、1年振りの再会を果たしてきたのは、今年の春先のことでした。その時、久し振りに会話を交わしたEさんから、定年後の楽しみとして山登りを楽しんでいるという話を聞きました。去年は単独で北岳に登頂し、今年は甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳を予定しているというのです。願っても無い相棒が見つかりました。それでは今年、一緒に登ろうとトントン拍子に話が進み、7月23日(木)〜25日(土)に、山小屋へ2泊する予定で登頂してきました。おじさん2人組の弥次喜多道中ですが、今回からその結果を紹介していきたいと思います。以前、山友さんから仙丈ヶ岳でライチョウが見られるという話を聞いていましたから、撮影するには願っても無いチャンスです。山登りとともにライチョウが観察できるならと、私自身もとても期待が膨らむ山行となりました。
今夜のお宿、仙水小屋へ入るまでに観察した北沢峠周辺の様子を紹介します。
今回は2日目に甲斐駒ケ岳に、3日目に仙丈ヶ岳にそれぞれ登ってきました。たくさんの高山植物が観察できましたが、北沢峠周辺にも色々な山野草を観察してくることができました。これはその中の一つコイチヨウランです。
今回の登山の起点となる北沢峠には、山梨県側から入るルートと長野県側から入るルートがありますが、山梨県側から入るにはバスを2回乗り継がなければなりません。下山時のバス便の時間も考慮して、我々は長野県側から入ることにして、仙流荘のあるこの戸台口バス停まで車で来て、ここから林道バスに乗って北沢峠まで向かいました。
ここが北沢峠バス停です。乗ってきたバスが戸台口へ戻るため待機しています。ひんやりした空気が気持ち良い環境でした。奥の方に見える建物は、2日目に泊ったこもれび山荘です。
北沢峠のこもれひ山荘の道路を挟んだ反対側には、クリンソウの群生地がありました。初日に開花している花は少なかったのですが、翌日にはたくさんの花が開花してくれました。
クリンソウはサクラソウ科の山野草ですが、花茎の上に輪状に数層重なって花をつけるところが特徴ですね。これは2日目に撮影したものですが、ちょうど上手い具合に花を咲かせてくれました。
北沢峠から仙水小屋まで40分ほどの道のりですが、峠のバス停から10分ほどのところにある長衛小屋のテント場までの間に、この白くて小さい花がたくさん咲いているのを見つけました。
花茎の先に5枚の白い花弁を広げた花を幾つか付けています。長い雌しべが飛び出していて、オレンジ色の雄しべが並んでいるのが分かります。これは、イチヤクソウ科のコバノイチヤクソウですね。
登山道の脇の林床に、何株も咲いていたコバノイチヤクソウですが、今回はこれとよく似たコイチヨウランもたくさん咲いていましたから、うっかりすると混同するところでした。
これは北沢峠から長衛小屋へ向かう途中にあった標識です。こちらへ下って行くと、山梨県側の広河原へ至ります。
北沢峠から長衛小屋に至る間に、コバノイチヤクソウと大変よく似たこの花が咲いていました。撮影している時は、同一種であると思っていたのですが、写真を整理していたら、コイチヨウランであることに気が付きました。
ここには、とてもたくさんのコイチヨウランが群生していました。平地では見ることができない光景ですから、しっかりと撮影してきました。
コイチヨウランは、その唇弁に紅紫色の斑紋があります。現地でこれを確認していたら、コバノイチヤクソウと混同することがなかったと思われます。
こちらはヤマブキショウマでしょうか?トリアシショウマとかハナチダケサシなどよく似た花がありますが、葉が2回3出複葉というところで判定しました。
こちらは、長衛小屋のすぐ前で、大きな花を咲かせていたヤマホタルブクロです。標高2,000mのこんな高地にも咲いているんですね。
こちらもやはり長衛小屋の前で撮影したハハコグサの仲間ですが、普通のヤマハハコより葉の幅が広いと思いますから、ヤハズハハコになるのでしょうか?
長衛小屋を通過して、しばらく沢沿いの道を登って行くと、クルマユリの花が目に付きました。茎の周りに葉が輪状に付くことが確認できれば、コオニユリとの識別ができます。
こちらも長衛小屋から仙水小屋に至る途中で撮影した、シロバナノヘビイチゴの群生です。花期は5〜6月頃だと思っていましたが、ここではまだ咲いていてくれました。
ここが今夜のお宿である仙水小屋です。戸台口のバス停から12時30分のバスに乗り、概ね2時間でここまで到着することができました。でも、日が暮れるまで時間が長いです。
仙水小屋の脇に咲いていたヤマオダマキです。樹木に囲まれていましたから、少し薄暗い環境でしたが、夕食の前に時間潰しで外に出た時に撮影したものです。
これも仙水小屋の周りで撮影したものですが、キク科のキオンであろうと思われます。アオヤギバナの花期は秋口ですし、アキノキリンソウのように花が密集して咲いていませんからこの識別となりました。
これが仙水小屋の内部です。この時期ですがストーブが焚かれていました。何より驚いたことは、夕食の時間が午後4時半で、朝食が午前3時半だというのです。あまりにも早い時間設定でビックリしました。どうなることか、その結果については次回以降で紹介します。